祝辞06


春爛漫の花の下、芸能の源を訪ねれば、目出度きものは翁十二月往来。四月のホトトギス、所に良きことを告げ渡るとか謡われております。

このたび、三代目桂花團治襲名の儀、かくも盛大に執り行われますことは、ご贔屓のお客様をはじめ、関係各位様の寛大なお引き立ての賜物と、心よりお喜び申し上げます。

不肖、私も、当人とは不思議な縁を持ちまして、この三十年近く、折に触れては心温まる交誼を持たせていただいておりました。それゆえ、このたび、襲名にあたって、連絡事務局の大任を仰せつかりましたことは、誠にもっての幸せと、微力ながらも相務める所存に至った次第であります。

私どもの稼業、東西屋と申すところは、元をただせば、市井の口舌芸能の一端でありました。
その口舌の芸能を究極まで洗練、集大成したもののひとつが落語でありまして、かねてより、畏敬崇拝するところでありました。

その歴史、伝統をふまえ、今ここに新たな花が咲こうとしております。当人共々、一所懸命と邁進する所存なれば、益々のお引き立てを賜らんことを、心は遥か下座にへりくだり、両手をついて紋付袴は仙台平、七重の襞を八重に折り、今日九重、十重にと重ねてお願い申し上げ奉ります。

まずは、取り急ぎましてのご挨拶、そのため口上、東西~東西。

東西屋・ちんどん通信社 代表 林 幸 治 郎