皆様にはますますご清栄の御事とお喜び申し上げます。
さてこの度、桂蝶六儀、ご贔屓さまはじめ各方面のお勧めによりまして、桂花團治を三代目として襲名させていただく運びと相成りました。
初代花團治師は我が一門の祖である初代桂春團治の弟弟子にあたり、明治末期から大正期にかけて活躍され、ことに吉本興業草創期の大看板として人気を集めました。また、その門下の二代目花團治師は五代目笑福亭松鶴師が主宰した楽語荘の同人となり、戦中に上方落語の保存と継承に尽力されました。
今回、初代花團治師のご遺族さまから、この名跡をぜひ復活させたいとのお話を一門にいただき、蝶六に白羽の矢が立ちました。上方落語界には由緒ある何々團治という名がいくつかございますが、華やかで艶のある花團治という佳き名跡が七十年ぶりに看板に上がりますことは、私にとりましても望外の喜びでございます。
新花團治は、手前の門人二代目桂春蝶に昭和五十七年に入門いたし、芸道に精進してまいりました。春蝶最後の弟子でございます。実は生前の春蝶に、花團治を襲名させてはとの、お勧めをいただいたことがございます。泉下の春蝶も、この度の襲名を、さぞ喜んでおるものと思っております。
初代は花街を舞台にした落語を得意に演じたとうかがっております。二代目は役者としても活躍され、花ある芝居で沸かせたとうかがっております。
このたびの花團治も初代二代と同様に、その名にふさわしい花ある噺家になれまするよう、ご指導ならびにご贔屓を賜りますことを伏してお願い申し上げます。
三代目 桂 春 團 治
蝶六 改メ 三代目 桂 花 團 治