さつきつつじをはじめ、百花咲き誇る陽春の佳き日に、三代目桂花團治の名跡をご襲名されますこと、まことにおめでとうございます。このたび襲名披露公演の会場としてくださいました、池田市民文化会館アゼリアホールの「アゼリア」は、池田市の花「さつきつつじ」に由来しております。
池田市は古くから植木の産地として知られてまいりました。嚆矢は室町時代にさかのぼり、江戸時代の初めには、多種多様の苗木や花卉などを栽培するようになったとされています。
その歴史の中に、接ぎ木の名人と謳われた六蔵翁が居りました。江戸時代の承応二年、京都御所の橘が焼け枯れたとき、接ぎ木をして蘇らせ、花咲き実を結び、この一件が池田・細河郷の植木を天下に高めたと、言い伝えられております。
襲名の「襲う」という字には、家系・地位などを受け継ぐという意味があり、改名とは違う重みがあると伺いました。
絶えさせてはいけない接がせる木に、それに相応しい接ぐ木。襲名も接ぎ木に似ています。由緒ある名跡と、それを襲うに相応しい落語家さん。三代目の花團治さんが、花團治の名はもとより、上方落語の伝統を受け継がれ、花咲き実を結び、その名を天下に轟かすことと存じます。
むすびに、襲名披露公演のご成功を念じますとともに、ご来場の皆さまや関係者の皆さまのご健勝ご多幸をお祈り申し上げ、ご挨拶とさせていただきます。
池田市 市長
小 南 修 身