祝辞01
蝶六改め三代目桂花團治の御襲名、誠におめでとうございます。
七十年ぶりの復活だそうでございまして、上方らしい、はんなりとした名前の復活は、上方落語協会にとりましても大変喜ばしいことでございます。今は亡き二代目春蝶師匠も、門人の襲名にさぞかしお喜びの事だと思います。
私もこうしてお祝いの拙文を書かせていただき、また公演の口上にも並ばせて頂く予定でございますので、春蝶師匠に少しでも恩返しが出来ればと思っております。
二代目春蝶師匠は、実は私の高校の二年先輩で、妹さんとは同級生でした。現三代目春蝶さんのおばさんに当たる方です。そのような縁で二代目春蝶師匠には、私がこの世界に入った昭和四十一年、私の師匠五代目文枝、当時小文枝が出演していた旧のなんば花月まで付き添ってくださいました。
そして劇場の前で「ここからは自分で行き。この世界は自分で切り開いていかないかん。困ったことがあったら何でも相談してくれたらええから。がんばりや」そう言って、送り出して下さいました。それから、ことあるごとに電話をかけて下さって、気にかけて頂きました。
今度は私が恩返しをする番でございます。困ったことがあれば、なんでも相談に乗らせていただきますし、この度の襲名を、協会あげて盛り上げてゆきたいと思っております。
皆々様には、どうか三代目花團治を末永くごひいき賜りますように、ひたすら伏してお願い申し上げる次第でございます。
公益社団法人上方落語協会 会長
六代 桂 文 枝